アエラホームが2026年7月16日、東京地方裁判所へ民事再生法の適用を申請しました。
「契約済みの家は完成するのか」「ローコスト住宅は倒産しやすいのか」「タマホームの赤字報道も危険なのか」と不安を感じている方も多いでしょう。
この記事では、アエラホームの民事再生、やまぜんホームズとフェザーホームの破産、タマホームの2026年5月期決算を比較します。価格帯や知名度だけでは分からない住宅会社の経営リスクと、契約前に確認すべきポイントを整理します。
この記事の結論
- アエラホームは破産ではなく民事再生であり、ロゴスホールディングスの支援を受けて注文住宅事業を継続する方針です
- アエラホームの経営悪化は突然ではなく、2022年5月期からの最終赤字、売上減少、債務超過などの兆候が続いていました
- やまぜんホームズはローコスト住宅の採算悪化、フェザーホームは急拡大による運転資金増加が重なって破産しました
- 2026年上半期のハウスメーカー倒産は118件で前年同期比87.3%増となり、業界全体の経営環境は厳しくなっています
- タマホームは第3四半期累計で赤字でしたが、2026年5月期通期では連結黒字です。ただし、住宅事業は営業赤字となりました
- 危険性はローコストか高級住宅かでは決まりません。売上減少、低収益、債務超過、急拡大、過大な固定費、前受金への依存を確認することが重要です
- 会社選びと同時に、住宅完成保証と工事の出来高に応じた支払いで、万一の損失を抑える必要があります
1.アエラホームが2026年7月16日に民事再生法を申請
アエラホームは2026年7月16日、東京地方裁判所へ民事再生手続開始を申し立てました。
東京商工リサーチによると、負債総額は2026年5月期時点で約61億6,100万円、債権者は金融機関4社と取引業者など約560社です。
アエラホームは1963年創業の工務店をルーツとし、2003年から全国展開を開始しました。外張り断熱を特徴とする住宅を展開し、2013年3月期には売上高約210億2,300万円、引渡棟数1,050棟まで成長しています。
しかし、その後は売上高と利益が縮小しました。2026年5月期の売上高は55億5,800万円、営業損失は10億3,000万円、当期純損失は10億6,700万円となり、純資産はマイナス14億3,400万円まで悪化しています。
1-1.民事再生と破産は同じではない
民事再生は、裁判所の監督下で事業を続けながら再建を目指す手続きです。破産は事業を停止して資産を換価し、債権者へ配当する清算型の手続きです。
| 比較項目 | 民事再生 | 破産 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 事業を継続しながら再建する | 事業を清算する |
| 営業 | 継続する場合がある | 原則として停止する |
| 施工中の住宅 | スポンサー支援などで継続する場合がある | 他社への引き継ぎが必要になる場合がある |
| 契約関係 | 再生計画や事業承継の内容による | 解除や出来高精算が必要になる場合がある |
| 注意点 | 裁判所の許可や再生手続の進行を確認する | 前払金損失と追加工事費の確認が必要になる |
今回のアエラホームは、ロゴスホールディングスがスポンサーとなり、注文住宅事業を承継する計画です。そのため、直ちに全工事が停止する破産とは状況が異なります。
2.アエラホームが民事再生に至った5つの理由
アエラホームの民事再生は、2026年に起きた一つの出来事だけが原因ではありません。長期的な低収益と売上減少で財務体力が低下していたところへ、工期と入金の遅延、資材納品の停止などが重なりました。
2-1.最盛期から売上高が大きく減少した
売上高は2013年3月期の約210億2,300万円から、2021年5月期には約103億円まで減少しました。
その後も縮小が続き、2024年5月期は91億1,400万円、2025年5月期は85億5,900万円、2026年5月期は55億5,800万円となっています。売上減少が続くと、展示場、人件費、広告費、本社機能などの固定費を吸収しにくくなります。
2-2.最終赤字と債務超過が続いていた
アエラホームは2022年5月期に約1億5,395万円、2023年5月期に約1億9,442万円、2024年5月期に約2億7,996万円の最終赤字を計上しました。
2024年5月期には債務超過へ転落し、2025年5月期、2026年5月期も純資産がマイナスの状態です。民事再生の約2年前には、すでに財務悪化を示す重要な兆候が公表情報から確認できました。
2-3.固定費の削減が売上減少に追いつかなかった
アエラホームは代表者交代、不採算拠点の撤退、赤字受注の削減、受注単価の引き上げ、販売管理費の削減を進めました。
2025年5月期には営業利益約4,900万円を確保しましたが、最終損益は赤字でした。営業黒字になった1期だけで判断せず、借入金、支払利息、特別損失、純資産、営業キャッシュフローまで確認する必要があります。
2-4.建築確認の長期化で着工・引渡し・入金が遅れた
2025年4月施行の改正建築基準法により、審査・検査の対象が拡大しました。アエラホームの公表資料では、確認済証の交付が想定以上に長期化し、着工、完成、引渡し、入金が遅れたと説明されています。
注文住宅会社は、契約金や着工金を受け取ってから資材・外注費を支払い、完成・引渡し時に残代金を回収します。工期の遅れは、利益だけでなく資金繰りへ直接影響します。
2-5.建材の納品遅延と支払い遅延が重なった
アエラホームは、中東情勢の悪化に伴うナフサ供給不足により、防水シート、樹脂サッシ、断熱材、住宅設備などで納品停止や納期遅延が発生したと説明しています。
工期がさらに長期化し、2026年4月末以降は仕入先や施工業者への支払いが遅れる事態となりました。
ただし、資材問題だけを倒産原因と考えるのは正確ではありません。長期的な赤字、売上減少、債務超過で財務余力が乏しい状態だったため、外部環境の悪化に耐えられなかったと考えるべきです。

3.アエラホームと契約済みの家はどうなる?
アエラホームとロゴスホールディングスの発表では、注文住宅事業をロゴスホールディングスの子会社LHD-1へ吸収分割で承継する予定です。
承継対象には、注文住宅事業に必要な資産、契約、従業員、許認可、営業拠点などが含まれます。新築請負契約も承継し、施工中と未着工の住宅を完成させる方針が示されています。
また、事業継続のため、ロゴスホールディングスは3億円のDIPファイナンスを予定しています。
ただし、吸収分割には裁判所の許可などが必要です。契約者は「事業継続と完工の方針が発表されている」ことと、「個別の工期・費用・仕様が確定している」ことを分けて考える必要があります。
3-1.契約者が確認すべき内容
- 自分の建築請負契約が承継対象に含まれているか
- 現在の工事進捗と今後の工程表
- 支払い済み金額と現在の出来高
- 未払い代金の支払先と支払時期
- 住宅ローンのつなぎ融資や分割実行への影響
- 仕様、追加変更、値引き、サービス工事が引き継がれるか
- 営業担当者、設計担当者、現場監督の変更
- 完成予定日と遅延した場合の取り扱い
- 保証、定期点検、アフターサービスの承継範囲
口頭説明だけで判断せず、契約書、変更契約書、見積書、図面、仕様書、打ち合わせ記録、入金記録をまとめて保管してください。
4.やまぜんホームズが倒産した理由
三重県桑名市のやまぜんホームズは、2025年8月6日に名古屋地方裁判所へ破産を申請しました。東京商工リサーチによる負債総額は18億円です。
2019年7月期には売上高約67億7,200万円を計上していましたが、2024年7月期には約20億8,900万円まで減少しました。同年度は約3億9,200万円の赤字となり、債務超過へ転落しています。
4-1.ローコスト住宅の利益を圧迫した資材高騰
やまぜんホームズはローコスト住宅を得意としていました。
資材価格が上昇しても販売価格へ十分に転嫁できなければ、1棟当たりの粗利益が減少します。低価格を強みに集客している会社ほど、急な値上げで競争力を失うことを恐れ、利益を削って受注する場合があります。
4-2.飲食事業の不振と住宅受注の減少が重なった
同社は住宅以外に飲食事業へ進出しましたが、不採算店舗が目立ちました。住宅部門ではウッドショック後の資材高騰と受注低迷が続き、人員減少による営業力の低下も重なっています。
本業の利益が薄い状態で不採算事業を抱え、売上減少と赤字が続いたことが資金繰りを圧迫しました。
4-3.未完成14件は他社が承継
やまぜんホームズで着工済みのまま未完成となった14件は、アサヒグローバルホームが請負契約を承継し、工事を継続すると発表しました。
ただし、他社が救済目的で契約を承継することは、すべての倒産で行われるわけではありません。住宅会社が破産した後に引き継ぎ先が見つかることを前提に契約するのは危険です。
5.フェザーホームが倒産した理由
北海道札幌市のフェザーホームは2025年10月14日に自己破産を申請し、同月27日に破産手続開始決定を受けました。
同社は2021年設立で、札幌、ニセコ、富良野などでサウナ、ジャグジー、シアターを備えた高級住宅を展開しました。2025年1月期の売上高は約21億2,500万円まで拡大しています。
5-1.売上の急拡大が運転資金を増加させた
注文住宅は、受注が増えれば自動的に資金繰りが安定する事業ではありません。
棟数が増えると、資材の仕入れ、外注費、人件費、土地やモデルハウス、広告費などの先行支出も増えます。入金より先に支払いが発生すれば、売上成長中でも現金が不足します。
フェザーホームは急激な業容拡大に加え、建築資材と外注費の高騰で収益が悪化し、資金繰りが厳しくなりました。
5-2.高級住宅でも倒産リスクはなくならない
フェザーホームはローコスト住宅会社ではありませんでした。
高価格帯の住宅でも、特殊設備や高額資材が増え、工期が長期化すれば、原価と運転資金の管理は難しくなります。高単価で売上が伸びていることだけでは、利益と現金が残っているかは分かりません。
5-3.未完成7件はロゴスホームが承継
着工済みで未完成だった7件は、ロゴスホールディングス傘下のロゴスホームが請負契約を承継し、工事を継続すると発表しました。
やまぜんホームズと同様に救済先が見つかりましたが、追加費用、工期、仕様変更などは個別契約により異なります。
6.アエラホーム・やまぜんホームズ・フェザーホームの共通点
| 比較項目 | アエラホーム | やまぜんホームズ | フェザーホーム |
|---|---|---|---|
| 法的手続き | 民事再生 | 破産 | 破産 |
| 主な価格帯・特徴 | 断熱性能を訴求する中堅住宅会社 | ローコスト住宅を中心に展開 | サウナ付き高級住宅 |
| 業績の動き | 長期的な売上減少と最終赤字 | 売上がピークの3分の1以下へ減少 | 短期間で売上が急拡大 |
| 財務・資金面 | 債務超過と支払い遅延 | 赤字と債務超過 | 運転資金増加と資材・外注費高騰 |
| 外部環境 | 建築確認と資材納品の遅延 | ウッドショックと競争激化 | 資材・外注費の上昇 |
| 契約の承継 | LHD-1が注文住宅事業を承継予定 | アサヒグローバルホームが未完成14件を承継 | ロゴスホームが未完成7件を承継 |
3社に共通するのは、住宅の価格帯ではありません。
注意すべき共通点は、利益が十分に残らない状態、売上規模に合わない固定費、急激な売上変動、資材高騰、資金回収の遅れによって、現金が不足したことです。
7.2026年はハウスメーカーの倒産が増えている
東京商工リサーチによると、2026年上半期のハウスメーカー倒産は118件で、前年同期比87.3%増でした。上半期に100件を超えたのは2013年以来13年ぶりです。
原因別では、販売不振が85件で72.0%、赤字累積が20件で16.9%を占めています。
7-1.住宅会社の経営を厳しくする4つの変化
- 資材価格・住宅設備・外注費・人件費の上昇
- 住宅価格と住宅ローン金利の上昇による購入者の減少
- 人手不足による工期の長期化
- 建築確認や資材納品の遅れによる売上計上・入金の遅延
住宅会社は契約から引渡しまでの期間が長く、受注時に想定した原価と実際の発注価格が変わる場合があります。
売上が伸びていても、値上げ前の低採算契約が多い、完成が遅れて残金を回収できない、前に受け取った資金を別の工事へ使っている、といった状態では資金繰りが悪化します。
7-2.倒産件数だけで個別会社を判断しない
業界全体で倒産が増えていても、個別企業の危険度は同じではありません。
大手・中堅・地域工務店という規模だけでなく、利益、純資産、現金、借入金、受注残、支払い条件、施工体制を確認する必要があります。

8.ローコスト住宅は危ないのか
結論として、ローコスト住宅だから危険、高級住宅だから安全とはいえません。
やまぜんホームズでは低価格帯の住宅で原価上昇を吸収しにくい問題がありました。一方、フェザーホームは高級住宅で売上を伸ばしながら、急拡大に伴う運転資金の増加で資金繰りが悪化しました。
8-1.価格より粗利益と資金繰りを見る
| 事業モデル | 主なリスク |
|---|---|
| ローコスト住宅 | 原価上昇を価格へ転嫁しにくく、1棟当たり利益が薄くなる |
| 高性能住宅 | 高額な部材や設備の仕入れ負担が大きい |
| 高級注文住宅 | 工期が長く、特殊資材や外注費が膨らみやすい |
| 急成長する工務店 | 人員、施工管理、運転資金が売上成長に追いつかない |
| 多店舗展開する住宅会社 | 展示場、人件費、広告費などの固定費が重くなる |
「安いのに標準仕様が豪華」「契約を急げば大幅値引き」「先に多く支払えば安くなる」といった条件は、原価と支払い条件を確認して判断しましょう。
8-2.注意したい経営悪化の兆候
- 売上高と引渡棟数が数年連続で減っている
- 営業赤字または最終赤字が続いている
- 債務超過になっている
- 短期借入金や有利子負債が増えている
- 営業キャッシュフローが継続的にマイナス
- 展示場や店舗の閉鎖が急に増えた
- 経営者や役員の交代が続いている
- 協力会社、仕入先、従業員への支払いが遅れている
- 工事進捗より多額の前払いを求められる
- 大幅な値引きと早期契約を同時に求められる
一つ当てはまるだけで倒産するとは限りません。複数の兆候が重なっていないかを確認することが重要です。
9.タマホームの赤字は危険なのか
タマホームは2026年5月期第3四半期累計で赤字となりましたが、通期の連結最終損益は黒字です。
「第3四半期が赤字だった」という情報だけで、通期赤字や倒産危機と判断するのは正確ではありません。一方、主力の住宅事業が営業赤字となった点は確認する必要があります。
9-1.第3四半期累計と通期決算を比較
| 指標 | 2026年5月期第3四半期累計 | 2026年5月期通期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,208億2,400万円 | 1,977億4,000万円 |
| 営業損益 | 33億7,500万円の赤字 | 38億4,200万円の黒字 |
| 経常損益 | 33億7,900万円の赤字 | 37億5,700万円の黒字 |
| 最終損益 | 26億6,800万円の赤字 | 12億1,300万円の黒字 |
タマホームの売上と引渡しは期末に偏る場合があるため、途中の四半期だけで判断できません。2026年5月期通期では連結黒字を確保しています。
9-2.住宅事業は営業赤字へ転落
2026年5月期の住宅事業は、売上高1,359億200万円、営業損失10億6,600万円でした。前期は営業利益3億3,000万円だったため、赤字へ転落しています。
注文住宅の引渡棟数は5,176棟で前期比7.5%減、受注棟数は7,195棟で前期比2.4%減、受注金額は1,674億円で前期比3.9%減でした。
会社全体では不動産事業などの利益があり、連結黒字となっています。しかし、注文住宅の契約先として見る場合は、連結最終利益だけでなく住宅事業の受注、引渡し、利益を継続的に確認すべきです。
9-3.現時点でアエラホームと同じ状態ではない
10.倒産しにくい住宅会社を見分ける方法
住宅会社の将来を完全に予測することはできません。ただし、契約前に財務と支払い条件を確認すれば、明らかな兆候を見落とす可能性は下げられます。
10-1.上場会社は連結と住宅事業を分けて見る
上場会社は決算短信、有価証券報告書、決算説明資料を確認できます。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 売上高・受注・引渡棟数 | 数年連続で急減していないか |
| 営業利益 | 本業で利益を出せているか |
| 当期純利益 | 借入利息や特別損失を含めて利益が残っているか |
| 営業キャッシュフロー | 本業から現金を生み出せているか |
| 現金及び預金 | 短期的な支払いに対応できるか |
| 自己資本比率 | 赤字や資産価格下落への耐久力があるか |
| 有利子負債 | 借入金が急増していないか |
| 継続企業の前提に関する注記 | 事業継続への重大な懸念が記載されていないか |
グループ全体が黒字でも、注文住宅事業が赤字の場合があります。連結最終利益だけでなく、住宅事業の売上、利益、受注、引渡棟数まで確認しましょう。
10-2.非上場会社は信用調査と支払い条件を確認する
地域工務店などの非上場会社は、詳細な決算を一般公開していないことがあります。
その場合は、次の方法で確認します。
- 東京商工リサーチや帝国データバンクの企業情報
- 法人登記と建設業許可
- 過去の行政処分
- 施工棟数と従業員数
- 創業年数と代表者の変更履歴
- 取引金融機関
- 完成保証制度への登録状況
- 協力会社や職人との継続的な取引状況
- 契約金、着工金、中間金、最終金の割合
決算を開示しないことだけで危険とは判断できませんが、完成保証もなく、多額の先払いを求める会社とは慎重に契約する必要があります。
11.住宅完成保証と瑕疵保険は別の制度
住宅会社の倒産に備える制度として、住宅完成保証があります。
JIO完成サポートなどでは、登録事業者が倒産して工事を続けられなくなった場合、他の事業者への工事引き継ぎや、一定範囲の追加費用・前払金損失をサポートします。
ただし、限度額や着工前の取り扱いは制度によって異なります。
契約前に次の内容を確認してください。
- 自分の建物が完成保証の対象になるか
- 保証書がいつ発行されるか
- 前払金の損失が対象になるか
- 引き継ぎ工事の追加費用がいくらまで対象になるか
- 着工前に倒産した場合も対象か
- 対象外となる条件
- 引き継ぎ会社をどのように選ぶか
住宅瑕疵担保責任保険は、引渡し後に構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分で瑕疵が見つかった場合に備える制度です。
建築途中の倒産によって家が完成しないリスクを直接カバーする制度ではありません。住宅完成保証と住宅瑕疵担保責任保険を混同しないようにしましょう。

12.YouTuberや住宅相談サービスの紹介をうのみにしない
住宅系YouTuber、SNS発信者、大手住宅相談サービス、既存の施主から紹介された会社であっても、現在の経営状態まで安全だと判断してはいけません。
住宅性能、価格、デザイン、担当者の対応が優れていることと、住宅会社の財務や資金繰りが健全であることは別の問題です。
紹介者に倒産を予見できた、または法的責任があるとは一概に断定できません。一方、知名度、フォロワー数、サービスの規模、過去の満足度だけを理由に契約するのは危険です。
12-1.業績悪化の兆候があっても紹介が続く場合がある
アエラホームは突然経営が悪化したわけではありません。
2022年5月期から最終赤字が続き、2024年5月期には債務超過へ転落しました。民事再生を申し立てる約2年前には、業績と財務の悪化を示す兆候を公表情報から確認できる状態でした。
マイホームヒーローズでは、業績、財務、支払い状況などに不安がある住宅会社については、積極的な紹介を行わない方針です。
一方、住宅業界全体を見ると、業績悪化の兆候が出ている会社でも、住宅系YouTuberやSNS発信者による商品紹介が続いていたり、大手住宅相談サービスの案内対象になっていたりするケースがあります。
近年は、既存の施主が営業担当者を紹介する仕組みも広がっています。しかし、施主が自宅の性能や担当者の対応に満足していても、その後の会社全体の業績や資金繰りまで把握しているとは限りません。
紹介者に悪意がなくても、次のようなことは起こります。
- 過去に建てた施主が、その後の業績悪化を知らないまま担当者を紹介する
- 発信者が住宅性能や価格を中心に評価し、企業財務までは専門外である
- 過去に制作した動画や記事が、会社の経営状態が変わった後も公開され続ける
- 提携先や掲載対象の見直しより先に、資金繰りが急速に悪化する
- 商品の魅力と会社の経営安定性が混同される
「有名な人が紹介していた」「大手サービスから案内された」「知人が建てて満足している」という情報は、会社を知るきっかけにはなりますが、契約時点の経営状態を示すものではありません。
12-2.大手住宅相談サービスの紹介だけで安全とは判断できない
全国規模の住宅相談サービスから案内された会社でも、その会社が契約から完成まで経営不安を抱えないとは限りません。
提携や掲載の審査を通過した時点と、読者が契約する時点では、経営状態が変わっている可能性があります。また、住宅会社の将来の受注、原価、工期、資金繰りを完全に予測することはできません。
大切なのは、紹介されたという事実を安全性の証明にしないことです。候補に入った会社について、自分でも公表資料、信用調査機関の情報、契約条件、支払いスケジュールを確認しましょう。
12-3.専門性・中立性・情報の新しさを分けて確認する
住宅性能や間取りに詳しい発信者でも、企業財務、資金繰り、民事再生、建築途中の倒産対応に詳しいとは限りません。
既存の施主も、自分が契約した当時の価格、性能、担当者、住み心地については詳しく説明できますが、現在の会社全体の経営状態まで把握しているとは限りません。
確認すべきなのは肩書やフォロワー数ではなく、次の3点です。
- 紹介者が専門とする分野
- 推奨理由となる客観的な根拠
- 使用している情報の基準日
住宅会社の紹介は契約先を決める結論ではなく、比較を始めるための情報として利用しましょう。
13.倒産リスクを抑える契約方法
住宅会社の経営状態を完全に予測することはできません。そのため、会社選びと同時に契約条件で損失を抑える必要があります。
13-1.工事の出来高以上に支払わない
住宅紛争処理支援センターは、倒産した会社から前払金が戻らない可能性を指摘し、工事の進捗に応じて支払うよう案内しています。
契約時に、次の支払い割合を確認してください。
| 支払時期 | 確認事項 |
|---|---|
| 契約時 | 高額な契約金になっていないか |
| 着工時 | 建築確認と着工を確認してから支払うか |
| 上棟時 | 実際の出来高と支払累計額が見合っているか |
| 完成時 | 完了検査と是正工事を確認できるか |
| 引渡時 | 鍵、保証書、検査書類の受領後に最終金を支払えるか |
「先に多く支払えば値引きする」と言われても、工事の出来高を超える前払いは避けましょう。
13-2.契約書に倒産時の取り扱いを入れる
- 住宅会社が法的整理に入った場合の解除条件
- 工事中断時の出来高精算方法
- 図面、構造計算書、確認申請書類の引き渡し
- 発注済み資材の所有権
- 工事写真と施工記録の引き渡し
- 保証会社と保証限度額
- 遅延損害金と工期延長条件
- 契約上の地位を第三者へ移す場合の条件
契約前に不明点を整理し、必要に応じて建築士や弁護士などの第三者へ確認してもらいましょう。
まとめ
アエラホームは2026年7月16日に民事再生法の適用を申請しました。背景には、長期的な低収益、売上減少、固定費負担、債務超過、建築確認と資材納品の遅延による資金繰り悪化があります。
一方、ロゴスホールディングスの子会社が注文住宅事業と新築請負契約を承継し、契約済み住宅を完成させる方針です。破産による事業停止とは状況が異なります。
やまぜんホームズでは、ローコスト住宅の収益性低下、受注減少、不採算事業、営業力の低下が重なりました。フェザーホームでは、急激な業容拡大と資材・外注費の高騰が資金繰りを悪化させました。
この2社を比較すると、「ローコスト住宅だけが危険」という結論にはなりません。注意すべきなのは、価格帯ではなく、低収益、売上減少、過大な固定費、借入依存、急拡大、多額の前受金依存です。
タマホームも第3四半期累計では赤字でしたが、2026年5月期通期では連結黒字です。ただし、主力の住宅事業が営業赤字となったため、今後の受注、引渡棟数、利益回復を確認する必要があります。
住宅会社を選ぶ際は、紹介者の知名度だけで判断せず、財務状態、支払い条件、住宅完成保証、契約書の内容を確認しましょう。
マイホームヒーローズ代表 潟沼勇気
宅地建物取引士・FP2級・住宅ローンアドバイザー
出典・引用元
- 東京商工リサーチ|アエラホーム株式会社
- 東京商工リサーチ|民事再生のアエラホーム「施主保護」への数カ月
- アエラホーム株式会社|民事再生手続開始の申立て及びスポンサー支援に関するお知らせ
- ロゴスホールディングス|アエラホームへの民事再生支援に関するスポンサー契約締結のお知らせ
- 東京商工リサーチ|ハウスメーカーの倒産、2026年上半期9割増の衝撃
- 東京商工リサーチ|2025年8月度こうして倒産した
- アサヒグローバルホーム|やまぜんホーム建築途中の請負契約承継に関するお知らせ
- ロゴスホールディングス|フェザーホーム建築途中の請負契約承継に関するお知らせ
- 北海道文化放送|フェザーホームが破産手続開始決定
- タマホーム|2026年5月期第3四半期決算短信
- タマホーム|2026年5月期決算短信
- タマホーム|2026年5月期決算説明資料
- 国土交通省|建築着工統計調査報告2025年計
- 住宅リフォーム・紛争処理支援センター|工事前に建設業者が倒産した場合
- 日本住宅保証検査機構|JIO完成サポート
- 国土交通省|住宅瑕疵担保履行法
- 消費者庁|ステルスマーケティングに関する規制
次のような悩みがある方は、住宅展示場へ行く前にご相談ください。
- 自分たちの予算に合う住宅会社を知りたい
- 商品や標準仕様の違いを整理したい
- 他社の見積りと同じ条件で比較したい
- 無理のない住宅ローン予算を確認したい
- 経験豊富な担当者へ相談したい
- 契約前に見積りや間取りを第三者に確認してほしい
マイホームヒーローズでは、複数の住宅会社について、予算、性能、標準仕様、間取り、担当者との相性を整理します。
