「住宅ローンの審査には通ると言われたものの、本当に返済できるのか不安」と感じていないでしょうか。

金融機関が融資できる金額と、教育費や老後資金を準備しながら無理なく返済できる金額は同じではありません。

この記事では、ハウスメーカーから高額な住宅ローンを提案された3世帯を例に、借入当初の返済額を推定手取り月収の25%以内に収める借入目安を計算します。

育休による収入減少、教育費、固定資産税、火災保険、修繕費、物価上昇、将来の金利上昇まで含めて、住宅予算を決める方法を解説します。

この記事の結論

今回の3事例では、ハウスメーカーの提案額と、借入当初の住宅ローン返済額を現在の推定手取り月収の25%以内に収めた借入目安に、1,5002,010万円の差が生じました。

世帯年収ハウスメーカー提案額当初25%基準の借入目安提案額との差
1,000万円7,000万円約5,500万円約1,500万円
800万円6,500万円約4,490万円約2,010万円
650万円5,500万円約3,650万円約1,850万円
  • 返済比率25%を適用するのは、借入当初の住宅ローン返済額のみ
  • 金利上昇後は、借入目安まで抑えても返済比率が28%になる
  • 固定資産税、保険、修繕費は25%の住宅ローン返済額に含めない
  • 育休、時短勤務、教育費、車、老後資金まで含めた確認が必要
  • 審査に通る金額ではなく、家計を維持できる金額から住宅会社を選ぶ

5,500万円、4,490万円、3,650万円は、誰にでも当てはまる安全な借入額ではありません。

収入の安定性、現在の貯蓄、生活費、子どもの人数、教育方針、建築地域によって適切な金額は変わります。

1.住宅ローン借入目安の計算条件

1-1.借入当初の返済額を手取り月収の25%以内にする

本記事では、住宅ローン返済額のみを推定手取り月収の25%以内に収めることを、一つの目安とします。

計算条件は次のとおりです。

計算項目設定条件
返済方法元利均等返済
当初金利年1.3%
返済期間35年
ボーナス返済なし
15年経過後の金利年2.3%
20年経過後の金利年2.8%
返済比率25%の適用時期借入当初のみ
固定資産税・都市計画税年間15万円と仮定
火災・地震保険年間5万円と仮定
修繕費返済比率には含めず別途準備

15年目と20年目の金利は将来予測ではなく、金利上昇時の影響を確認するための仮定です。

金利変更時の月返済額は、その時点のローン残高と残りの返済期間から再計算しています。5年ルールや125%ルールは適用していません。

1-2.推定手取り年収は概算

今回の計算では、主人様と奥様の額面年収から次の手取り年収を仮定しています。

世帯年収推定手取り年収推定手取り月収25%の月返済上限
1,000万円約790万円約65.8万円約16.5万円
800万円約640万円約53.3万円約13.3万円
650万円約520万円約43.3万円約10.8万円

実際の手取り額は、次の条件によって異なります。

  • 夫婦それぞれの年収
  • 賞与の割合
  • 扶養状況
  • 社会保険料
  • 所得控除
  • 住民税
  • 勤務先の制度
  • 自治体
  • 住宅ローン控除

源泉徴収票、給与明細、住民税決定通知書を確認し、実際の年間手取り額で再計算することが重要です。

1-3.25%以内でも安全を保証するものではない

手取り月収の25%は、住宅ローンだけに適用する目安です。

次の費用は含まれていません。

  • 固定資産税と都市計画税
  • 火災保険と地震保険
  • 外壁や屋根などの修繕費
  • 駐車場代
  • 管理費や修繕積立金
  • 車の買い替え費用
  • 教育費
  • 老後資金

25%以内であっても、生活費が高い世帯や収入変動が大きい世帯では、返済が厳しくなる可能性があります。

2.3世帯の住宅ローン借入目安

当初の月返済額を推定手取り月収の25%以内に収めると、計算上の借入上限は次のとおりです。

世帯年収当初の返済上限計算上の借入上限記事内の借入目安
1,000万円約16.5万円約5,551万円約5,500万円
800万円約13.3万円約4,497万円約4,490万円
650万円約10.8万円約3,654万円約3,650万円

端数を切り下げ、計算上の上限を超えない金額を借入目安としています。

2-1.借入目安の月返済額

世帯年収借入目安当初1.3%15年目2.3%20年目2.8%
1,000万円約5,500万円約16.3万円約17.9万円約18.6万円
800万円約4,490万円約13.3万円約14.6万円約15.2万円
650万円約3,650万円約10.8万円約11.9万円約12.3万円

2-2.金利上昇後の返済比率

世帯年収借入目安当初1.3%15年目2.3%20年目2.8%
1,000万円約5,500万円約24.8%約27.2%約28.2%
800万円約4,490万円約25.0%約27.4%約28.4%
650万円約3,650万円約25.0%約27.4%約28.4%

25%以内に収めているのは、借入当初だけです。

金利が2.8%まで上昇した場合、現在と同じ手取り月収が続いても、住宅ローン返済額だけで手取り月収の28%になります。

3.世帯年収1,000万円で7,000万円を借りる事例

3-1.家族構成と提案内容

項目内容
ご主人様35歳・年収600万円
奥様32歳・年収400万円
子ども2人
世帯年収1,000万円
推定手取り年収約790万円
推定手取り月収約65.8万円
ハウスメーカー提案額7,000万円
返済期間35年
ご主人様の完済年齢70歳

世帯年収1,000万円は高収入に見えますが、子ども2人の教育費や奥様の育休・時短勤務を考える必要があります。

3-2.7,000万円を借りた場合の返済額

返済時期月返済額推定手取り月収に占める割合
当初1.3%約20.8万円約31.5%
15年目2.3%約22.8万円約34.7%
20年目2.8%約23.6万円約35.9%

固定資産税と火災・地震保険を合計年間20万円と仮定すると、月割りで1.7万円が別途必要です。

20年目には、住宅ローンと税金・保険だけで月約25.3万円となります。修繕費は含まれていません。

3-3.教育費が重なる時期に注意する

20年後、主人様は55歳、奥様は52歳です。

子どもの年齢によっては、次の支出と重なる可能性があります。

  • 高校や大学の学費
  • 塾や予備校の費用
  • 大学進学時の一人暮らし
  • 車の買い替え
  • 外壁や屋根の修繕
  • 給湯器や空調設備の交換
  • 親の介護
  • 老後資金の準備

現在の収入だけで7,000万円を判断すると、教育費が増える時期に家計の余力を失う可能性があります。

3-4.奥様が1年間育休を取得した場合

奥様の年収400万円が毎月均等に支払われ、賞与を含まないと仮定して、育児休業給付を単純計算すると次のとおりです。

期間概算給付額
最初の6か月約134万円
その後の6か月約100万円
1年間の合計約234万円
休業前の額面年収との差約166万円

給付金は非課税であり、一定の要件を満たす育休期間は社会保険料が免除されるため、額面年収との差がそのまま手取り収入の減少額になるわけではありません。

ただし、復職後に時短勤務を選択すると、収入が育休前の水準へ戻らない場合があります。

3-5.当初25%基準の借入目安は5,500万円

返済時期7,000万円の月返済額5,500万円の月返済額
当初1.3%約20.8万円約16.3万円
15年目2.3%約22.8万円約17.9万円
20年目2.8%約23.6万円約18.6万円
比較項目7,000万円5,500万円
当初の返済比率約31.5%約24.8%
20年目の返済比率約35.9%約28.2%
税金・保険の月割り負担別途約1.7万円別途約1.7万円
提案額との差なし約1,500万円減額

借入額を5,500万円にすると、借入当初の月返済額は16.3万円となり、推定手取り月収約65.8万円の25%以内に収まります。

ただし、5,500万円が絶対に安全という意味ではありません。子ども2人の教育費や奥様の収入減少が大きい場合は、さらに予算を抑える必要があります。

3-6.予算に合わせた住宅会社選び

5,500万円が土地・建物・諸費用を含む総予算の場合、土地価格によって建物へ使える金額は大きく変わります。

候補を整理するときは、次の選択肢を比較します。

  • 一条工務店
  • アイ工務店
  • ヤマト住建
  • 住友不動産
  • ハイブランドメーカーの規格・セミオーダー商品
  • 地域の性能重視型工務店

実際の建築費は、地域、延床面積、付帯工事、外構、地盤改良、設備、オプションによって異なります。住宅会社名だけで予算内に収まると判断せず、同じ条件の見積りで比較してください。

4.世帯年収800万円で6,500万円を借りる事例

4-1.家族構成と提案内容

項目内容
ご主人様30歳・年収500万円
奥様30歳・年収300万円
子ども1人
世帯年収800万円
推定手取り年収約640万円
推定手取り月収約53.3万円
ハウスメーカー提案額6,500万円
返済期間35年
完済年齢65歳

現在子どもが1人でも、第二子を希望している場合は、追加の育休や教育費も考える必要があります。

4-2.6,500万円を借りた場合の返済額

返済時期月返済額推定手取り月収に占める割合
当初1.3%約19.3万円約36.1%
15年目2.3%約21.2万円約39.8%
20年目2.8%約21.9万円約41.1%

当初から住宅ローンだけで手取り月収の36%を占めます。

税金・保険として月約1.7万円を加えると、当初の住宅関連費は21万円です。ここに修繕費や車の維持費が加わります。

4-3.奥様が1年間育休を取得した場合

期間概算給付額
最初の6か月約100.5万円
その後の6か月約75万円
1年間の合計約175.5万円
休業前の額面年収との差約124.5万円

第二子を希望している場合は、育休と時短勤務による収入減少が複数回発生する可能性があります。

6,500万円の住宅ローンを組む前に、主人様の収入を中心としても生活費と住宅費を維持できるか確認が必要です。

4-4.当初25%基準の借入目安は4,490万円

返済時期6,500万円の月返済額4,490万円の月返済額
当初1.3%約19.3万円約13.3万円
15年目2.3%約21.2万円約14.6万円
20年目2.8%約21.9万円約15.2万円
比較項目6,500万円4,490万円
当初の返済比率約36.1%約25.0%
20年目の返済比率約41.1%約28.4%
税金・保険の月割り負担別途約1.7万円別途約1.7万円
提案額との差なし約2,010万円減額

4,490万円まで借入額を抑えると、借入当初の月返済額は13.3万円となります。

20年目に金利が2.8%まで上昇すると返済比率は28.4%です。奥様の時短勤務などで手取り月収が減っている場合は、実際の返済比率がさらに高くなります。

4-5.予算に合わせた住宅会社選び

土地を所有している場合と、土地から購入する場合では選択できる住宅会社が変わります。

候補として比較しやすい住宅会社には、次のような選択肢があります。

  • アイ工務店
  • ヤマト住建
  • ウィザースホーム
  • 桧家住宅
  • AQ Group
  • ヤマダホームズ
  • 地域密着型の工務店

土地から購入する場合は、土地面積や建築エリア、延床面積も同時に調整する必要があります。

5.世帯年収650万円で5,500万円を借りる事例

5-1.家族構成と提案内容

項目内容
ご主人様25歳・年収500万円
奥様24歳・年収150万円
子どもなし
世帯年収650万円
推定手取り年収約520万円
推定手取り月収約43.3万円
ハウスメーカー提案額5,500万円
返済期間35年
ご主人様の完済年齢60歳

年齢が若いことは長期的な収入増加を期待できる要素ですが、将来の昇給は保証されていません。

子どもを希望している場合は、現在の生活費だけで住宅予算を決めないことが重要です。

5-2.5,500万円を借りた場合の返済額

返済時期月返済額推定手取り月収に占める割合
当初1.3%約16.3万円約37.6%
15年目2.3%約17.9万円約41.3%
20年目2.8%約18.6万円約42.9%

当初から住宅ローンだけで、推定手取り月収の38%を占めます。

税金・保険を加えると月約18万円となり、手取り月収の42%です。修繕費や将来の教育費は含まれていません。

5-3.奥様が1年間育休を取得した場合

期間概算給付額
最初の6か月約50.3万円
その後の6か月約37.5万円
1年間の合計約87.8万円
休業前の額面年収との差約62.2万円

奥様の年収が比較的少ない場合でも、5,500万円を主にご主人様の年収500万円で返済できるか確認しなければなりません。

5-4.当初25%基準の借入目安は3,650万円

返済時期5,500万円の月返済額3,650万円の月返済額
当初1.3%約16.3万円約10.8万円
15年目2.3%約17.9万円約11.9万円
20年目2.8%約18.6万円約12.3万円
比較項目5,500万円3,650万円
当初の返済比率約37.6%約25.0%
20年目の返済比率約42.9%約28.4%
税金・保険の月割り負担別途約1.7万円別途約1.7万円
提案額との差なし約1,850万円減額

借入額を3,650万円まで抑えると、借入当初の月返済額は10.8万円となります。

土地を所有している場合は、3,650万円の借入でも注文住宅を検討できる可能性があります。

土地から購入する場合は、規格住宅、建売住宅、中古住宅とリノベーション、建築エリアの変更も含めて総予算を調整しましょう。

5-5.予算に合わせた住宅会社選び

候補として比較しやすい選択肢には、次のようなものがあります。

  • ヤマダホームズ
  • AQ Group
  • ローコスト系の規格住宅
  • 地域密着型の工務店
  • 建売住宅
  • 中古住宅とリノベーション

借入額3,650万円から土地代、付帯工事、外構工事、諸費用を差し引くと、建物へ使える予算はさらに少なくなります。

予算が合わないまま高価格帯の住宅会社と契約するより、建築エリア、土地面積、延床面積、住宅会社の価格帯を見直すことが重要です。

6.3事例の月返済額を一覧で比較

6-1.ハウスメーカーから提案された借入額

世帯年収借入額当初1.3%15年目2.3%20年目2.8%
1,000万円7,000万円約20.8万円約22.8万円約23.6万円
800万円6,500万円約19.3万円約21.2万円約21.9万円
650万円5,500万円約16.3万円約17.9万円約18.6万円

6-2.当初25%基準の借入目安

世帯年収借入目安当初1.3%15年目2.3%20年目2.8%
1,000万円約5,500万円約16.3万円約17.9万円約18.6万円
800万円約4,490万円約13.3万円約14.6万円約15.2万円
650万円約3,650万円約10.8万円約11.9万円約12.3万円

住宅ローンは、借入当初の返済額だけで判断してはいけません。

20年目は、子どもの高校・大学進学、住宅設備の交換、親の介護、老後資金の準備などと重なる可能性があります。

借入当初は25%以内でも、金利が上昇すれば28%になります。将来の収入が増えなかった場合でも、必要な貯蓄を継続できるか確認しましょう。

7.育休給付があっても現在の世帯年収だけで決めない

今回の3世帯について、奥様が1年間育休を取得した場合の給付額を単純計算すると次のとおりです。

奥様の年収最初の6か月その後の6か月1年間の概算給付額休業前の額面年収との差
400万円約134万円約100万円約234万円約166万円
300万円約100.5万円約75万円約175.5万円約124.5万円
150万円約50.3万円約37.5万円約87.8万円約62.2万円

育児休業給付金は、原則として育休開始から180日までは休業開始時賃金日額の67%、181日目以降は50%で計算されます。

実際の金額は、原則として育休開始前6月の賃金を基準に計算され、賞与は含まれません。支給上限や育休中の給与によっても変わります。

2025年4月からは、一定の要件を満たす場合に最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額が加算される出生後休業支援給付金も始まっています。

ただし、住宅ローンは育休終了後も続きます。

  • 復職後の時短勤務
  • 第二子の育休
  • 配偶者の退職
  • 転職や独立
  • 病気や休職
  • 親の介護による働き方の変更

一時的な給付だけでなく、長期的な収入変化まで確認する必要があります。

8.子ども1人の教育費は1,1001,200万円を想定する

文部科学省の令和5年度子供の学習費調査では、幼稚園から高校まで全て公立へ通った場合の学習費総額は614万円です。

令和7年度の私立大学における初年度学生納付金等は平均約151万円、授業料は年平均約97万円です。

施設設備費なども考慮すると、私立大学4年間で500万円前後が一つの目安になります。

進学条件1人あたりの概算
公立幼稚園から公立高校約614万円
私立大学4年間約500万円前後
合計約1,100万〜1,200万円

子どもが2人なら、2,2002,400万円です。

次の費用が加わる可能性もあります。

  • 大学進学時の一人暮らし
  • 受験料
  • 併願校への入学金
  • 通学費
  • 留学費用
  • パソコンや教材の購入費
  • 塾や予備校
  • 私立中学校や私立高校の学費

住宅ローン返済後に余ったお金を教育費へ回すのではなく、住宅費と教育費を同時に積み立てられるか確認しましょう。

9.固定資産税と火災保険は住宅ローンとは別に必要

9-1.固定資産税と都市計画税

固定資産税は、原則として課税標準額に標準税率1.4%を掛けて計算します。

市街化区域内では都市計画税がかかる場合があります。東京都23区における都市計画税率は0.3%です。

実際の税額は次の条件によって異なります。

  • 土地と建物の評価額
  • 土地面積
  • 建物の構造と床面積
  • 建築した自治体
  • 長期優良住宅の認定
  • 新築住宅の軽減期間
  • 住宅用地の特例

本記事では固定資産税と都市計画税を年間15万円と仮定していますが、実際の税額を保証するものではありません。

新築住宅に対する軽減措置の終了後は、建物の固定資産税が増える可能性もあります。

9-2.火災保険と地震保険

火災・地震保険料は、次の条件によって変わります。

  • 建築地域
  • 建物構造
  • 床面積
  • 耐震性能
  • 補償金額
  • 水災補償の有無
  • 家財補償の有無
  • 保険期間

本記事では年間5万円と仮定しています。

契約時に長期分を支払う場合でも、更新時の支出へ備える必要があります。

9-3.将来の修繕費も積み立てる

戸建住宅では、次のような修繕費が発生する可能性があります。

  • 外壁や屋根の塗装・補修
  • 防水工事
  • 給湯器の交換
  • エアコンや全館空調の交換
  • 太陽光発電や蓄電池の点検・交換
  • キッチン、浴室、トイレの交換
  • シロアリ対策

毎月の返済額だけを見て「払える」と判断せず、税金、保険、修繕費を別枠で積み立てましょう。

10.物価上昇によって住宅ローン以外の支出も増える

2026年6月の全国消費者物価指数は、総合指数が前年同月比1.7%上昇しました。

仮に生活費が毎年2%ずつ上昇した場合、現在30万円の生活費に相当する金額は次のようになります。

経過期間現在30万円の生活費に相当する金額
10年後約36.6万円
20年後約44.6万円
30年後約54.3万円

これは将来の物価を予測したものではなく、毎年2%上昇した場合の単純なシミュレーションです。

給与が生活費と同じ割合で増えるとは限りません。

住宅ローンが手取り月収の40%前後を占めると、食費、光熱費、教育費、保険料などの値上がりを吸収できなくなる可能性があります。

11.属性が強いと判断されやすい人ほど借りすぎに注意する

住宅金融支援機構の2025年度住宅ローン貸出動向調査では、金融機関が重視度を高めている審査項目として、返済負担率に続いて、職種、勤務先、雇用形態が挙げられています。

収入や雇用が安定していると評価されやすい人は、審査に通りやすく、審査可能額を前提に高額な住宅予算を提案される場合があります。

例として、次のような職業や勤務先が挙げられます。

  • 国家公務員
  • 地方公務員
  • 大手製造業
  • 総合商社
  • 電鉄系企業
  • 外資系企業
  • 大手IT企業
  • 医師や士業などの専門職

これらの勤務先だから一律に審査が有利になる、または高額な住宅予算が適正になるという意味ではありません。

11-1.公務員でも教育費や生活費はかかる

公務員は収入が比較的安定していると評価される場合がありますが、住宅費以外の負担が減るわけではありません。

子どもの教育費、車の維持費、親の介護費、住宅修繕費は勤務先に関係なく発生します。

11-2.大手企業でも現在の年収が35年間続くとは限らない

大手企業に勤務していても、次の可能性があります。

  • 転職や独立
  • 配置転換
  • 役職定年
  • 賞与の減少
  • 海外赴任や帰任
  • 病気や休職
  • 配偶者の退職
  • 会社の業績悪化

賞与の割合が大きい場合は、毎月の固定給を中心に返済できる金額へ抑えることが重要です。

11-3.外資系や大手IT企業は変動報酬を分けて考える

外資系企業や大手IT企業では、賞与、インセンティブ、株式報酬などが年収に含まれている場合があります。

変動報酬は、毎年同じ金額が保証されているとは限りません。

住宅ローンは固定給を中心に返済し、賞与や株式報酬は資産形成や繰上返済の原資として考える方法があります。

12.変動金利の5年ルールと125%ルールにも注意する

変動金利型住宅ローンには、金利が上昇しても毎月返済額を5年間変更しない5年ルールや、見直し後の返済額を直前の125%以内に抑える125%ルールが設けられている場合があります。

ただし、全ての金融機関や住宅ローン商品に適用されるわけではありません。

毎月返済額が据え置かれても、適用金利が上昇すれば、返済額に占める利息の割合が増えて元金が減りにくくなる可能性があります。

住宅ローンを選ぶときは、次の項目を確認しましょう。

  • 適用金利の見直し時期
  • 毎月返済額の見直し時期
  • 5年ルールの有無
  • 125%ルールの有無
  • 金利上昇後の元金と利息の内訳
  • 未払利息が発生する可能性
  • 固定金利へ変更できる条件
  • 繰上返済手数料

「返済額がすぐに増えないから安心」と考えず、金利上昇後の元金残高と総返済額も確認してください。

13.予算を下げても満足できる家づくりはできる

借入額を下げると、希望する家が建てられないと感じるかもしれません。

しかし、住宅会社ごとに得意な価格帯、構造、断熱性能、間取り、デザイン、標準設備が異なります。

高価格帯の住宅会社で希望する仕様を削るより、予算内で必要な性能や設備が標準になっている住宅会社を選ぶほうが、満足度が高くなる場合があります。

住宅予算は次の順番で整理しましょう。

  1. 現在の年間手取り収入を確認する
  2. 借入当初の月返済額を計算する
  3. 育休と時短勤務中の収入を確認する
  4. 子どもの人数と教育方針を決める
  5. 現在の生活費と車の負担を確認する
  6. 固定資産税と保険料を加える
  7. 将来の修繕費を積み立てる
  8. 金利上昇後の返済額を計算する
  9. 完済年齢と老後資金を確認する
  10. 予算に合う土地と住宅会社を比較する

ハウスメーカーを決めてから住宅ローンを合わせるのではなく、家計から住宅ローン予算を決め、その予算に合う住宅会社を選ぶことが重要です。

まとめ

今回の3事例では、ハウスメーカーから提示された借入額と、借入当初の住宅ローン返済額を現在の推定手取り月収の25%以内に収めた借入目安に、1,5002,010万円の差がありました。

世帯年収ハウスメーカー提案額当初25%基準の借入目安提案額との差当初の月返済額20年目の月返済額
1,000万円7,000万円約5,500万円約1,500万円約16.3万円約18.6万円
800万円6,500万円約4,490万円約2,010万円約13.3万円約15.2万円
650万円5,500万円約3,650万円約1,850万円約10.8万円約12.3万円

25%以内に収めているのは、借入当初の住宅ローン返済額だけです。将来の金利上昇時まで25%以内に抑える計算ではありません。

金利が2.8%まで上昇した場合、借入目安まで抑えても返済比率は28%になります。

さらに、固定資産税、都市計画税、火災・地震保険、修繕費が住宅ローンとは別に必要です。

住宅ローンは、金融機関の審査に通る上限まで借りる必要はありません。

主人様・奥様の育休や時短勤務、教育費、生活費、貯蓄、将来の働き方まで確認したうえで借入額を決めましょう。

今回の結果はシミュレーションであり、適切な住宅予算を保証するものではありません。

実際の金利、税制、収入、支出、資産状況、土地条件、建物面積、住宅会社の価格帯、付帯工事、オプションによって結果は変わります。家庭ごとの資金計画と、住宅会社から取得した見積りを照らし合わせることが重要です。

よくある質問

この記事の監修

マイホームヒーローズ代表 潟沼勇気
宅地建物取引士・FP2級・住宅ローンアドバイザー

出典・引用元

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次のような悩みがある方は、住宅展示場へ行く前にご相談ください。

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