2026年の台風25号では、関東を中心とする大雨によって土砂崩れが相次ぎ、住宅にも被害が出ました。注文住宅の土地選びでは、敷地が土砂災害の指定区域に入っているかだけでなく、隣接する斜面、擁壁、周辺から水が集まる地形まで確認することが大切です。

この記事では、今回確認された被害を踏まえ、土地を買う前に調べることと、購入後にできる対策を整理します。被害状況は公表時点の速報であり、今後変わる可能性があります。

この記事の結論

土砂災害への対策は、建物の仕様を決める前の土地選びから始まります。

  • 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は、建築物の損壊によって人命に著しい危害が生じるおそれがある区域です。住宅用地として検討する場合は、規制と対策費用を最初に確認してください。
  • 土砂災害警戒区域(イエローゾーン)や指定区域外でも、敷地の背後の崖、小さな沢、擁壁、盛土の状態を現地で確認する必要があります。
  • 擁壁や斜面に不安があれば、契約前に自治体と専門家へ相談し、必要な工事と費用を確認しましょう。
  • 大雨が予想されるときは、建物で土砂を受け止めることを前提にせず、避難先と経路を決めて早めに移動することが重要です。([横浜市][1])

1.今回の台風25号では、どこで土砂災害が起きた?

消防庁の2026年9月22日午後030分時点の速報では、千葉県鴨川市で2件、神奈川県横須賀市で1件、三浦市で2件の土砂崩れについて、消防機関が行方不明者の対応を行っていると報告されています。神奈川県の同日午前730分時点の速報では、横須賀市と三浦市で建物の全壊が2棟報告されました。([fdma.go.jp][2])

住宅への土砂流入による死亡事例も報じられています。台風による土砂災害は、山間部だけの問題ではありません。住宅地に接する斜面や、道路沿いの崖でも被害が起こり得ます。([fnn.jp][3])

1-1.大雨で斜面が崩れる理由

大雨が地中にしみ込むと、土が斜面にとどまろうとする力が弱まり、崖崩れにつながります。また、上流の土砂と水が沢を流れ下る土石流や、広い範囲の地面が動く地すべりもあります。家の敷地だけを見ても、背後の斜面や上流からの危険は判断できません。([国土交通省][4])

2.土地購入前に確認したい3種類の区域

まずは国土交通省の「重ねるハザードマップ」と自治体の土砂災害ハザードマップで、候補地とその周辺を確認します。国土交通省の地図では、土砂災害警戒区域等に加え、土地の成り立ちや大規模盛土造成地も調べられます。([国土交通省][5])

区分土地選びでの見方
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)土砂災害によって建物が損壊し、人命に著しい危害が生じるおそれがある区域。一定の開発行為の許可や建築物の構造に関する規制がある
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)土砂災害によって人命に危害が生じるおそれがある区域。危険の周知や避難体制の整備が行われる
指定区域外地図上で区域に入っていなくても安全が保証されるわけではない。近くの崖や小さな沢、土地の造成状況を確認する

レッドゾーンに指定されている土地が、すべて建築禁止という意味ではありません。ただし、建築できるかどうかだけで購入を決めず、必要な構造・造成工事と費用、避難方法まで確認する必要があります。([横浜市][1])

3.ハザードマップの次に、現地で何を見る?

3-1.敷地の上と下にある斜面

候補地が崖のにある場合は、土砂が建物へ流れ込む方向を確認します。崖のにある場合も、斜面が崩れれば敷地や建物の足元に影響する可能性があります。

現地では、次の点を見てください。

  • 敷地や隣地の背後に急な斜面がないか
  • 雨水が集まりそうな沢やくぼ地がないか
  • 斜面にひび割れ、湧水、土の流出跡がないか
  • 家までの道路や避難経路が、斜面の下を通っていないか

崖や小さな沢が近くにあれば、警戒区域の表示だけで判断しないことが大切です。([国土交通省][6])

3-2.擁壁の状態と、誰が管理するか

高低差のある宅地では、土を支える擁壁を確認します。擁壁があること自体を安全の証明とは考えずひび割れ、傾き、排水の状態などを見ます。国土交通省は、擁壁は経年劣化や豪雨で健全度が下がり得るとして、点検や補修の考え方を示しています。([国土交通省][7])

購入前には不動産会社へ、擁壁の所有者、工事の記録、過去の補修履歴を確認しましょう。劣化が疑われる場合は、土地の契約前に専門家へ調査を依頼し、補修や造り直しが必要か、費用はいくらかを見積もってもらうことが重要です。

3-3.盛土と周辺の水の流れ

造成地では、切土と盛土の位置、道路や隣地との高低差、雨水の排水先を確認します。国土交通省の「重ねるハザードマップ」では、大規模盛土造成地の分布を確認できます。ただし、地図上の情報は現地調査の代わりにはなりません。([国土交通省][8])

4.土地を買う前に、不動産会社と自治体へ聞くこと

気になる土地が見つかったら、申込みや契約の前に次の項目を確認しましょう。

確認項目具体的に聞くこと
指定区域敷地のどの部分が警戒区域・特別警戒区域に入るか。区域の境界はどこか
建築条件建物の配置や構造、造成に必要な許可・対策は何か
崖・擁壁所有者、施工記録、補修履歴、現在の状態はどうか
雨水の排水敷地や背後の斜面に集まる水をどこへ流すか
過去の被害土砂流入、斜面崩壊、道路の通行止めの履歴はあるか
対策費用調査、擁壁補修、排水工事などを含めた総額はいくらか

区域の境界付近にある土地は、画面上の地図だけで判断せず、自治体に指定範囲を確認してください。土砂災害警戒区域内にあることは、不動産取引の重要事項説明でも確認すべき事項です。([pref.kanagawa.jp][9])

5.購入後・入居後にできる土砂災害対策

5-1.擁壁と排水を点検する

擁壁や排水設備は、造った後も状態が変わります。ひび割れや傾き、湧水に加え、排水施設に土砂や落ち葉が詰まっていないかを確認します。異変があれば、自分で掘削や補修を始めず、自治体や専門家に相談してください。([国土交通省][7])

5-2.雨が降る前に避難の判断を決める

土砂災害は突然起きることがあり、前兆が必ず現れるわけではありません。家族で安全な避難先と経路を決め、自治体の避難情報や土砂災害の危険度情報を確認しましょう。斜面にひびが入る、小石が落ちる、崖から水が湧くといった異変があれば、早急に安全な場所へ離れてください。([国土交通省][6])

5-3.保険の水災補償を確認する

台風の大雨による土砂崩れで建物や家財が損害を受けた場合は、火災保険の水災補償付いているか確認します。建物と家財は保険の対象を分けて確認し、支払条件や免責金額も契約書で確かめてください。([www.sonpo.or.jp][10])

まとめ

今回の台風25号では、千葉県と神奈川県で土砂崩れが発生し、住宅にも深刻な被害が出ました。注文住宅の土地選びでは、価格や広さ、駅からの距離に加え、敷地と周辺斜面の危険、擁壁の状態、雨水の流れ購入前に確認する必要があります。

候補地に崖や擁壁がある場合は、調査と対策の費用を含めて総予算を組みましょう。安全性に疑問が残るときは、契約を急がず、自治体と専門家の確認を受けてから判断してください。

この記事の監修

マイホームヒーローズ代表 潟沼勇気
宅地建物取引士・FP2級・住宅ローンアドバイザー

出典・引用元

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