世帯年収800万円の共働き夫婦なら、7000万円の住宅ローンを組める金融機関が見つかる可能性はあります。

しかし、35歳・年収500万円、30歳・年収300万円、子供2人という家族構成で考えると、7000万円は「借りられる可能性はあっても、安心して返せる金額とは言いにくい」というのが結論です。

この記事では、毎月の返済額だけでなく、金利上昇、妻の収入減少、子供2人の教育費、固定資産税や修繕費まで含めて、家計がどうなるのかを具体的に検証します。

この記事の結論

  • 1.30%・35年返済でも毎月返済額は208000円、年収に対する返済負担率は31.1%になる
  • 固定資産税、保険、修繕費を含めると、住居費だけで手取り収入の45%前後を使う可能性がある
  • 7000万円を返すには妻の年収300万円を長期間維持することが前提になる
  • 妻の収入減少と教育費の増加が重なると、貯蓄や老後資金を確保できなくなる可能性が高い
  • 金利が2%を超えると、住宅ローンだけで審査基準に近い返済負担率になる
  • 世帯年収800万円に対する7000万円の借入れは年収の8.75倍であり、慎重な判断が必要
  • 契約前に実際の手取り額と生活費を使った個別シミュレーションを行うべき

1.今回の住宅ローンシミュレーション条件

今回の試算条件は以下のとおりです。

項目条件
世帯年収800万円
ご主人様35歳・年収500万円
奥様30歳・年収300万円
子供2人
借入額7000万円
返済期間35年
返済方法元利均等返済
ボーナス返済なし
他の借入れなしと仮定
完済時年齢ご主人様70歳・奥様65歳
主な試算金利年1.30%
教育方針未定
現在の貯蓄額未定

子供の年齢、現在の家賃、保有資産、自動車の有無、教育方針などによって結果は変わります。そのため、この記事の数字は7000万円の負担を把握するための概算シミュレーションです。

1-1.世帯の手取り収入は52万円前後

額面年収が合計800万円でも、800万円をそのまま生活費や住宅ローンに使えるわけではありません。

税金や社会保険料を差し引いた手取り収入は、一般的な会社員世帯で年間約620640万円、月平均では5253万円が一つの目安です。

実際の手取り額は勤務先の健康保険、居住地、賞与、各種手当、所得控除などによって変わります。住宅ローンの安全性を判断するときは、額面年収ではなく実際に振り込まれた手取り収入を確認する必要があります。

2.7000万円を35年で借りた場合の毎月返済額

7000万円を35年、元利均等返済、ボーナス返済なしで借りた場合の試算結果は以下のとおりです。

金利毎月返済額年間返済額額面年収に対する返済負担率総返済額利息総額
年1.00%約19万7600円約237万1000円約29.6%約8299万円約1299万円
年1.30%約20万7500円約249万円約31.1%約8717万円約1717万円
年2.00%約23万1900円約278万3000円約34.8%約9739万円約2739万円
年2.30%約24万2800円約291万4000円約36.4%約1億198万円約3198万円
年3.46%約28万7700円約345万2000円約43.2%約1億2083万円約5083万円

3.46%は、2026年9月における融資率9割以下・返済期間21年以上35年以下のフラット35の最頻金利を参考にした比較です。子育て世帯や住宅性能などによる金利引下げは反映していません。

実際の適用金利、融資率、団体信用生命保険、手数料、金利引下げ制度によって返済額は変わります。

2-1.1.30%でも住宅ローンだけで毎月約208000円

比較的低い1.30%で借りられたとしても、毎月返済額は208000円です。

手取り月収を525000円とすると、住宅ローンだけで手取り収入の39.5%を占めます。

一般的に使われる額面年収基準では31.1%ですが、実際の生活に近い手取り収入基準では負担感が大きく変わる点に注意が必要です。

3.住宅ローン審査には通る可能性があるのか

フラット35の利用条件では、年収400万円以上の場合、すべての借入れを合計した年間返済額が年収の35%以下であることが基準の一つです。

今回のケースでは、1.30%なら返済負担率は31.1%、2.00%なら34.8%です。他の借入れがなければ、単純計算上は35%以内に収まります。

ただし、審査に通るとは限りません。

金融機関によっては、実際の適用金利より高い金利を使って返済能力を確認することがあります。また、以下の返済も住宅ローンの審査に影響します。

  • 自動車ローン
  • 教育ローン
  • カードローン
  • クレジットカードの分割払いやリボ払い
  • スマートフォン端末の分割払い
  • 投資用不動産などの借入れ

3-1.主人様の年収だけでは返済できない

1.30%の年間返済額は249万円です。

主人様の年収500万円だけで計算すると、返済負担率は49.8%になります。つまり、7000万円の住宅ローンは奥様の年収を合算しなければ成立しにくい借入額です。

「現在は共働きだから返せる」だけではなく、奥様が今後も働き続けられるかを確認する必要があります。

  • 出産や育児による休業
  • 時短勤務への変更
  • 子供の病気による欠勤
  • 転職や退職
  • 親の介護
  • 夫婦どちらかの病気

7000万円を借りる場合、こうした変化が家計へ直接影響します。

3-2.年収の8.75倍という高い借入額

7000万円を世帯年収800万円で割ると、借入額は年収の8.75倍です。

住宅金融支援機構の2025年度フラット35利用者調査では、土地付注文住宅の平均世帯年収は742万円、平均所要資金は5313万円、所要資金の年収倍率は7.8倍でした。

今回の7000万円は借入額だけで全国の平均所要資金を1687万円上回ります。購入時の諸費用を別途負担する場合、実際の住宅取得総額はさらに大きくなります。

地域や住宅規模による差はありますが、平均より高いリスクを取る計画であることは認識しておくべきです。

4.住宅ローン以外の住居費を加えるとどうなるのか

持ち家では、住宅ローン以外にも継続的な支出が発生します。

  • 固定資産税と都市計画税
  • 火災保険と地震保険
  • 外壁や屋根の修繕費
  • 給湯器や空調設備の交換費
  • 水回り設備の交換費
  • 庭や外構の維持費
  • 太陽光発電や蓄電池などの修理費

建物、土地、地域、設備によって異なりますが、修繕積立を含めて35万円程度を確保する前提で考えます。

手取り月収を525000円とした場合の家計は以下のとおりです。

金利住宅ローン税金・保険・修繕積立住居費合計手取りに占める割合住居費を引いた残額
年1.00%約19万8000円約3万〜5万円約22万8000〜24万8000円約43〜47%約27万7000〜29万7000円
年1.30%約20万8000円約3万〜5万円約23万8000〜25万8000円約45〜49%約26万7000〜28万7000円
年2.00%約23万2000円約3万〜5万円約26万2000〜28万2000円約50〜54%約24万3000〜26万3000円
年3.46%約28万8000円約3万〜5万円約31万8000〜33万8000円約61〜64%約18万7000〜20万7000円

残った金額から、家族4人分の食費、水道光熱費、通信費、保険料、自動車費、日用品、医療費、教育費、レジャー費、老後資金を支払います。

1.30%でも、住居費を支払った後に残るのは2729万円です。子供2人を育てながら十分な貯蓄を続けるには、かなり厳しい家計管理が必要です。

5.子供2人の教育費と住宅ローンが重なる

文部科学省の令和5年度子供の学習費調査によると、幼稚園から高校までの15年間にかかる学習費総額は、1人当たり次の金額です。

進学パターン1人当たり子供2人
すべて公立約614万円約1228万円
すべて私立約1969万円約3938万円

この金額には大学費用が含まれていません。

日本学生支援機構の令和6年度学生生活調査では、大学学部昼間部の年間学生生活費は、国立大学で158万円、私立大学で216万円です。学費と生活費を含む平均値であり、自宅通学か一人暮らしかによっても大きく変わります。

5-1.大学進学時にも数千万円のローンが残る

1.30%で7000万円を35年返済した場合のローン残高は、おおむね次のようになります。

経過年数ご主人様の年齢奥様の年齢住宅ローン残高
借入時35歳30歳7000万円
10年後45歳40歳約5313万円
15年後50歳45歳約4384万円
18年後53歳48歳約3797万円
30年後65歳60歳約1205万円
35年後70歳65歳0円

仮に子供が現在0歳なら、大学進学時にご主人様は53歳で、まだ3800万円の住宅ローンが残っています。

子供がすでに小学生なら、教育費のピークはさらに早く訪れ、より多くのローン残高と重なります。

また、主人様が65歳になった時点でも1200万円が残る試算です。返済期間を35年にすると、教育費だけでなく老後資金の準備期間とも重なります。

6.妻の収入が減った場合の家計

今回の7000万円は、奥様の年収300万円を長期間維持することが前提です。

主人様の年収500万円だけになった場合、手取り月収は勤務先や控除によって異なりますが、3234万円が一つの目安です。

1.30%の場合、住宅ローンと税金・保険・修繕積立の合計は238000258000円です。

状況概算手取り月収住居費住居費を引いた残額
現在の共働き約52万〜53万円約23万8000〜25万8000円約26万〜29万円
ご主人様の収入のみ約32万〜34万円約23万8000〜25万8000円約6万〜10万円

主人様の収入だけになると、住居費を払った後に残る金額では、家族4人の生活費を賄うことが難しくなります。

育児休業給付や児童手当などを受け取れる場合もありますが、制度による収入を35年間続く住宅ローンの返済原資として考えるのは危険です。

7.変動金利が上昇すると返済額はいくら増えるのか

1.30%を基準として、金利が上昇した場合を比較します。

金利毎月返済額年1.30%との差年間負担の増加
年1.30%約20万7500円なしなし
年2.30%約24万2800円約3万5300円約42万4000円
年3.30%約28万1300円約7万3800円約88万6000円

1.30%から2.30%になると、年間負担は42万円増えます。3.30%なら89万円の増加です。

実際の変動金利型住宅ローンでは、適用金利の見直し時期や返済額の変更ルールが金融機関によって異なります。返済額がすぐに表の金額へ変わるとは限りませんが、返済が猶予された元金や利息が消えるわけではありません。

「現在の金利なら払える」ではなく、少なくとも金利が1%、2%上昇した状態でも家計が維持できるかを確認する必要があります。

8.7000万円の住宅ローンを再検討すべき理由

今回の家族が7000万円を借りる場合、主な問題は毎月返済額だけではありません。

8-1.共働きをやめにくくなる

奥様の収入が家計の余裕ではなく、住宅ローンを返すための必須条件になります。

働き方を変えたいと思っても、返済のためにフルタイム勤務を続けざるを得なくなる可能性があります。

8-2.教育方針を住宅ローンに合わせることになる

私立中学への進学、大学での一人暮らし、留学などを希望しても、住宅ローンによって選択肢を狭める可能性があります。

家は家族の生活を豊かにするためのものです。家を買ったことで子供の進路を過度に制限する状態は避けたいところです。

8-3.老後資金の準備が遅れる

完済時のご主人様は70歳です。

65歳時点でも1200万円の残債があるため、定年後も返済を続けるか、退職金などで繰り上げ返済する必要があります。退職金を住宅ローンへ充てると、その分だけ老後資金が減ります。

9.借入額を下げると毎月返済額はどう変わるのか

1.30%、35年返済で借入額を比較すると以下のようになります。

借入額毎月返済額額面年収に対する返済負担率
4500万円約13万3000円約20.0%
5000万円約14万8000円約22.2%
5500万円約16万3000円約24.5%
6000万円約17万8000円約26.7%
7000万円約20万8000円約31.1%

7000万円から5500万円まで借入額を下げると、毎月返済額は45000円、年間では54万円減ります。

35年間では、この差が教育費、修繕費、老後資金を準備する余力になります。

9-1.手取り収入の25%を基準にすると44004500万円

手取り月収を5253万円とすると、その25%は13133000円です。

1.30%・35年返済で毎月返済額をこの範囲に収める場合、借入額は44004500万円になります。

これはあくまで安全性を重視した一つの基準です。十分な金融資産がある場合や今後の収入増加が確実な場合など、借入可能額が変わることはあります。

ただし、7000万円との間には2500万円の差があります。この差を「将来の昇給」や「何とかなる」という期待だけで埋めるのは危険です。

10.契約前に確認したいチェックリスト

7000万円の住宅ローンを検討している場合は、住宅会社と契約する前に以下を確認してください。

  • 過去12月の実際の手取り収入を確認した
  • 過去12月の生活費を口座やカード明細から集計した
  • ボーナスを使わなくても返済できる
  • 金利が1%上昇しても年間収支が黒字になる
  • 金利が2%上昇した場合の返済額を確認した
  • 奥様の収入が半分になった場合を試算した
  • 主人様の収入だけになった場合を試算した
  • 子供2人の教育資金を住宅ローンとは別に準備できる
  • 固定資産税、保険、修繕費を含めている
  • 土地、建物、付帯工事、外構、諸費用、家具家電を含む総額を確認した
  • 購入後も生活費1年分程度の現金を残せる
  • 65歳時点のローン残高と老後資金を確認した
  • ペアローンや収入合算の団信と債務負担を理解した

一つでも確認できていない項目があるなら、住宅会社から提示された借入可能額だけで契約を進めるべきではありません。

11.家づくりのリアルがわかるIE-LOG(イエログ)

住宅ローンや住宅会社を検討するとき、公式サイトや営業担当者から得られる情報だけでは、実際の家づくりをイメージしにくいことがあります。

IE-LOG(イエログ)は、先輩施主の体験談や家づくりに関する質問を通じて、住宅会社や家づくりを比較・検討できるコミュニティ・プラットフォームです。

IE-LOGの利用案内によると、投稿を読む、探す、保存するといった使い方は登録不要です。住宅展示場へ行く前や契約前に、気になるテーマを自分たちのペースで確認できます。

7000万円の住宅ローンを検討している場合は、次のような視点で情報を探すと役立ちます。

  • 契約後に見積額がどの程度増えたのか
  • 外構、オプション、地盤改良などにいくらかかったのか
  • 実際の坪単価や総額はいくらだったのか
  • 住宅ローンを組んだ後の生活に余裕があるのか
  • 子育て家庭が採用してよかった間取りや設備
  • 入居後に後悔したこと
  • 営業担当者や施工中の対応
  • 住んでから分かった維持費や修繕費

住宅会社の公式情報は、性能や保証などを正確に確認するために必要です。一方、先輩施主の体験談からは、カタログだけでは分かりにくい家づくりの過程や入居後の実感を知ることができます。

ただし、投稿はあくまで個人の体験や意見です。一つの投稿だけで住宅会社全体を判断せず、契約書、見積書、公式情報、複数の体験談を照合して判断してください。

IE-LOG(イエログ)で家づくりのリアルを見る

まとめ

世帯年収800万円、35歳・30歳・子供2人の家庭が7000万円を借りると、1.30%でも毎月返済額は208000円になります。

固定資産税、保険、修繕費まで含めると、毎月の住居費は2426万円です。手取り収入の45%前後を住居費が占め、残りの金額から家族4人の生活費、教育費、貯蓄、老後資金を賄うことになります。

低金利で審査に通ったとしても、7000万円が安全な借入額とは限りません。特に今回の借入れは、奥様が年収300万円を長期間維持することが前提です。

住宅会社を決める前に、少なくとも以下の3つを確認しましょう。

  1. 金利が1%、2%上昇した場合の返済額
  2. 奥様の収入が減少した場合の家計
  3. 教育費と老後資金を含めた35年間の収支

借りられる金額ではなく、家族が選択肢を失わずに返せる金額から住宅予算を決めることが重要です。

この記事の監修

マイホームヒーローズ代表 潟沼勇気
宅地建物取引士・FP2級・住宅ローンアドバイザー

出典・引用元

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