「住宅ローンはいくらまでなら無理なく返せるのか」「ハウスメーカーから提示された予算を信じてよいのか」と悩む方は少なくありません。

住宅ローン審査では、一般に額面年収に対する年間返済額の割合が確認されます。しかし、実際の生活費、教育費、老後資金を支払うのは、税金や社会保険料が引かれた後の手取り収入です。審査に通る借入額と、家族が暮らしを守りながら返せる借入額は同じではありません。

マイホームヒーローズの住宅ローン診断は、手取り年収を基準に住宅ローン返済額を考え、借入目安、月返済額、完済年齢などを確認できるシミュレーションです。

住宅展示場へ行く前や、ハウスメーカーから資金計画を提示される前に使うことで、提案金額に流されにくい判断軸を持てます。

この記事の結論

  • 住宅ローン審査で借りられる金額と、家計を圧迫せずに返せる金額は別です
  • 2025年度のフラット35利用者調査では、注文住宅の平均建設費は4,259.8万円、土地付注文住宅の建設費と土地取得費の合計は5,312.9万円まで上昇しています
  • 「住宅ローン破産が全国的に増えている」と断定できる公的統計はありませんが、住宅金融支援機構のリスク管理債権比率は2024年度の1.86%から2025年度の1.89%へ小幅に上昇しています
  • マイホームヒーローズの住宅ローン診断は、推計した手取り年収の25%以内を当初返済額の目安として借入額を計算します
  • 家づくりを始める前に診断すれば、ハウスメーカーの提案額ではなく、自分たちの家計から住宅予算を決められます

1.建築費上昇で住宅ローンの借入額も大きくなっている

住宅ローンの借りすぎを考えるうえで、最初に確認したいのが住宅価格の上昇です。

住宅金融支援機構の2025年度フラット35利用者調査によると、注文住宅の平均建設費は2024年度の3,932.1万円から2025年度は4,259.8万円となり、1年間で327.7万円、率にして8.3%上昇しました。

土地付注文住宅では、平均建設費が3,737.6万円、平均土地取得費が1,575.3万円です。合計は5,312.9万円となり、2024年度の5,007.1万円から305.8万円増えています。

フラット35利用者の平均2024年度2025年度増加額
注文住宅の建設費3,932.1万円4,259.8万円327.7万円
土地付注文住宅の建設費3,512.0万円3,737.6万円225.6万円
土地付注文住宅の土地取得費1,495.1万円1,575.3万円80.2万円
土地付注文住宅の合計5,007.1万円5,312.9万円305.8万円

フラット35を利用した人の平均値であり、全国の注文住宅すべての平均価格ではありません。

1-1.建築費が上がると予算オーバーが起きやすい

以前と同じ年収でも、建物価格が300万円上がれば、自己資金を増やさない限り借入額も増えます。

さらに注文住宅では、建物本体価格以外に次の費用がかかります。

  • 付帯工事費
  • 屋外給排水工事費
  • 地盤改良費
  • 外構工事費
  • 設計料や申請費用
  • 登記費用や住宅ローン諸費用
  • 火災保険料や地震保険料
  • 土地の仲介手数料
  • 照明、カーテン、家具、家電、引っ越し費用

最初は予算内に見えても、打ち合わせが進んでオプションや外構費が追加され、最終的に借入額が膨らむケースがあります。

建物本体の坪単価だけではなく、入居までに必要な総額で判断しなければなりません。

2.住宅ローン破産は本当に増えているのか

インターネットでは「住宅ローン破産が増えている」という表現を見かけます。

ただし、自己破産の原因を住宅ローンだけに分けた全国統計は限られており、住宅ローン破産者が何人増えたのかを公的資料から正確に断定することはできません。

一方、住宅ローンの返済が難しくなるリスクを無視してよいわけでもありません。

住宅金融支援機構の2025年度実績では、リスク管理債権比率が2024年度の1.86%から2025年度は1.89%へ小幅に上昇しています。

リスク管理債権には、破産更生債権や危険債権だけでなく、返済条件を変更した要管理債権なども含まれます。そのため、1.89%をそのまま住宅ローン破産の割合と読むことはできません。

それでも、一定数の世帯が返済条件の見直しを必要としていることはわかります。

2-1.住宅ローンの返済が苦しくなる主な原因

住宅ローン返済は35年など長期間にわたります。借入時の年収だけでは、将来の家計変化をすべて予測できません。

  • 産休や育休、時短勤務による世帯収入の減少
  • 転職、休職、病気、介護による収入減少
  • 子どもの成長に伴う教育費の増加
  • 変動金利の上昇による返済額の増加
  • 固定資産税、修繕費、火災保険料など住居費の見落とし
  • 自動車ローンや教育ローンとの返済重複
  • ボーナス減少によるボーナス返済の負担
  • 外構やオプション追加による当初予算の超過

住宅金融支援機構の返済方法変更制度でも、離職、病気、収入減少、教育費や医療費の増加などを返済相談の背景として挙げています。

住宅ローン破産を防ぐために重要なのは、将来を完全に予測することではありません。

収入が下がった場合や支出が増えた場合でも、返済を継続できる余白を借入前に残すことです。

3.借りられる額と返せる額は違う

住宅ローン審査は、金融機関が融資できるかを判断する仕組みです。

審査に通ったからといって、その金額を借りても教育費、旅行、車の買い替え、老後資金まで無理なく準備できると保証されるわけではありません。

3-1.住宅ローン審査は額面年収を基準にすることが多い

フラット35の利用条件では、すべての借入れに対する年間合計返済額の割合について、年収400万円未満は30%以下、年収400万円以上は35%以下という基準が示されています。

年収フラット35の総返済負担率基準
400万円未満30%以下
400万円以上35%以下

この基準には住宅ローンだけでなく、自動車ローン、教育ローン、カードローン、分割払いやリボ払いなども含まれます。

ただし、これはフラット35の申込要件です。

「年収400万円以上なら年収の35%まで住宅ローンを返しても、家計に余裕がある」という意味ではありません。民間金融機関の審査基準や審査金利もそれぞれ異なります。

3-2.額面年収は自由に使えるお金ではない

会社員の給与からは、所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などが差し引かれます。

額面年収だけで返済額を考えると、実際の銀行口座に入る金額に対して住宅ローンが重くなる可能性があります。

たとえば、説明のために額面年収600万円、手取り年収500万円と仮定し、どちらも25%を返済に回す場合を比較します。

計算基準年間返済額月返済額借入額の概算
額面年収600万円の25%150万円12.5万円約4,216万円
手取り年収500万円の25%125万円約10.4万円約3,513万円
25万円約2.1万円約703万円

借入額は金利年1.3%、35年、元利均等返済、ボーナス返済なしで計算した概算です。額面年収600万円の実際の手取りが必ず500万円になるという意味ではありません。手取り額は家族構成、勤務先、居住地、控除などにより異なります。

同じ25%という返済比率でも、額面と手取りのどちらを基準にするかで借入目安に700万円の差が生じます。

この差が、毎月の貯蓄や教育費、家の修繕費に使える余力になります。

4.ハウスメーカーの資金計画が高くなりやすい理由

ハウスメーカーのすべてが無理な住宅ローンを提案するわけではありません。家計を丁寧に確認し、余裕を持った予算を提案する担当者もいます。

ただし、住宅会社の資金計画では「希望する家を建てるにはいくら必要か」「住宅ローン審査でいくら借りられそうか」が先に置かれやすく、生活費や将来支出から逆算した返済可能額とは視点が異なる場合があります。

4-1.予算より先に商品を見ると金額が基準になる

住宅展示場では、広いリビング、高い天井、上位グレードの設備など、魅力的な仕様を体験できます。

最初に理想の家を見た後で予算を提示されると、その金額を基準として考えやすくなります。これは行動経済学でアンカリングと呼ばれる心理効果です。

「月々あと2万円なら払えそう」「35年に延ばせば予算内」「共働き年収なら審査に通る」と説明されると、総借入額の大きさや将来の家計変化を見落とすことがあります。

4-2.住宅会社と金融機関では確認する目的が違う

判断する人主に確認すること
住宅会社希望する住宅を建てるための総額と資金調達方法
金融機関申込者の返済能力、信用情報、担保、融資条件
建てる本人返済後も生活費、教育費、貯蓄を確保できるか

住宅会社の提案も金融機関の審査も必要ですが、最後に家計を守る判断をするのは建てる本人です。

だからこそ、営業担当者と会う前に自分たちの借入上限を持っておく必要があります。

5.マイホームヒーローズの住宅ローン診断とは

マイホームヒーローズの住宅ローン診断は、住宅ローン審査の上限を調べるだけのシミュレーションではありません。

家族が実際に使える手取り年収を基準に、無理のない借入目安を確認するための診断です。

5-1.診断で入力する主な項目

  • 本人様の年収と年齢
  • 配偶者様の年収と年齢
  • 子どもの人数と年齢
  • 居住予定の都道府県
  • 想定金利
  • 検討中の借入額
  • 現在の家づくりの検討状況

夫婦どちらか一人で借りる場合も、共働きで収入を合算して考える場合も、世帯の状況に合わせて確認できます。

5-2.診断で確認できる主な結果

  • 手取り年収を基準にした借入目安
  • 借入目安に対応する月返済額
  • 35年返済とした場合の完済年齢
  • 検討中の借入額と診断結果の
  • 予算を見直すべきかを考えるための判断材料

診断結果は、住宅ローンの承認額を保証するものではありません。また、必ずその金額まで借りてよいという意味でもありません。

住宅会社を比較する前の予算づくりに使う目安です。

5-3.手取り年収の25%以内を目安にする理由

マイホームヒーローズの住宅ローン診断では、推計した世帯の手取り年収に対し、当初の年間住宅ローン返済額を25%以内に収める考え方を採用しています。

計算の基本的な考え方は次のとおりです。

  1. 世帯年収などから手取り年収を推計する
  2. 手取り年収の25%を年間返済額の目安にする
  3. 年間返済額を12月で割り、月返済額を算出する
  4. 入力した金利と35年の元利均等返済を前提に借入目安を逆算する
  5. 年齢から完済時の年齢を確認する

25%は、すべての世帯に安全を保証する絶対的な基準ではありません。

子どもの人数、教育方針、車の保有台数、現在の貯蓄、今後の働き方などによって、適正な返済額は変わります。

それでも、額面年収に対する審査上限ではなく、手取り収入から住宅ローンを考えることで、生活費とのバランスをイメージしやすくなります。

6.住宅ローン診断は家づくりを始める前に使う

住宅ローン診断を使う最適なタイミングは、住宅展示場やモデルハウスへ行く前です。

すでに見積りを取得した後でも使えますが、理想の商品や間取りが決まってから予算を下げるのは簡単ではありません。

先に借入目安を確認し、その範囲で住宅会社や商品を選ぶほうが、予算オーバーを防ぎやすくなります。

6-1.診断結果を家づくりの上限予算へ置き換える

診断でわかるのは住宅ローンの借入目安です。家づくりの総予算は、次のように考えます。

家づくりの総予算住宅ローンの借入目安住宅購入に使える自己資金

ただし、手元の貯蓄をすべて自己資金に使うのは避けましょう。

入居後の生活防衛資金、家具や家電の購入費、引っ越し費用、出産や教育費などを残したうえで、住宅に使える自己資金を決めます。

6-2.土地、建物、諸費用へ予算を分ける

総予算が決まったら、土地と建物を別々に探すのではなく、最初に配分を決めます。

予算項目主な内容
土地土地価格、仲介手数料、造成、解体、上下水道引込など
建物本体工事、付帯工事、オプション、地盤改良など
諸費用登記、ローン手数料、保険、税金、引っ越しなど
予備費追加工事、仕様変更、想定外の費用など

土地に予算を使いすぎると、希望するハウスメーカーで建てられなくなることがあります。

反対に建物価格だけを見て土地を後回しにすると、希望エリアで総予算を超える可能性があります。

7.診断結果をそのまま借入上限にしないための確認項目

手取り年収の25%以内でも、家族の状況によっては負担が重くなることがあります。診断後は、次の項目を確認してください。

7-1.共働き収入が継続するか

夫婦の収入を合算すると借入目安は増えます。しかし、育児、介護、転職、病気などで片方の収入が下がる可能性があります。

現在の世帯年収だけでなく、産休・育休・時短勤務中の収入や、どちらか一人の収入が減った場合でも試算してください。

共働きの継続を前提に借入額を最大化するより、収入減少時の対応策を先に決めることが重要です。

7-2.金利上昇後も返済できるか

変動金利を選ぶ場合は、現在の金利だけで判断しないでください。

診断時の金利に加え、金利が1%、2%上がった場合の月返済額も確認しましょう。

金利上昇分を毎月の貯蓄で吸収できない場合は、借入額を下げる、固定金利を比較する、自己資金を増やすなどの対策が必要です。

7-3.住宅ローン以外の住居費を含める

戸建住宅では、住宅ローン以外にも固定資産税、火災保険料、地震保険料、将来の外壁・屋根・設備交換費用がかかります。

太陽光発電や蓄電池、給湯器なども永久に使えるわけではありません。

月返済額だけでなく、税金と修繕積立を含む年間住居費で確認する必要があります。

7-4.教育費と老後資金を同時に積み立てられるか

住宅ローン返済中にも、子どもの進学や老後は近づきます。

毎月の返済後に貯蓄がほとんど残らない計画では、教育費が増えたときにカードローンなど別の借入れへ頼るおそれがあります。

「今の家賃と同じだから払える」ではなく、住宅購入後も必要な積立額を維持できるかを確認しましょう。

8.診断結果別の次の行動

診断結果と検討額の関係次に行うこと
検討額が借入目安以内金利上昇、収入減少、教育費を加えた家計確認を行う
検討額が借入目安を少し超える建物面積、オプション、土地条件、自己資金の配分を見直す
検討額が借入目安を大きく超える住宅会社や商品、エリア、購入時期を含めて計画を再設計する
借入目安は問題ないが完済年齢が高い返済期間、退職時残高、繰上返済に使える資金を確認する

診断結果より高い見積りが出たときは、すぐに契約可否を決める必要はありません。

複数社の見積条件をそろえ、削減できる項目と削減してはいけない性能を整理します。

9.住宅ローン診断でわかることとわからないこと

診断でわかること診断だけでは決められないこと
手取り年収を基準にした借入目安金融機関の正式な審査結果
月返済額の目安各家庭に最適な教育費や生活費
完済年齢将来の収入や金利の変化
検討中の借入額との差住宅会社の見積りに含まれる全項目
予算見直しの必要性個別の税務、保険、法務判断

診断は、住宅ローンを決定するものではなく、家づくりの初期段階で危険な予算を避けるための入口です。

正式な借入れでは金融機関の審査が必要であり、家計の詳細は必要に応じてファイナンシャルプランナーなどへ相談してください。

10.マイホームヒーローズの住宅ローン診断に関するよくある質問

10-1.住宅ローン審査に通る金額がわかりますか?

正式な審査結果はわかりません。

診断結果は、手取り年収から考える借入目安です。金融機関は年収、勤続年数、雇用形態、年齢、信用情報、他の借入れ、物件の担保評価などを総合的に審査します。

10-2.手取りの25%なら必ず安全ですか?

必ず安全とは限りません。

子どもの人数、私立進学の希望、車の保有、現在の貯蓄、配偶者様の働き方などによって適正額は変わります。

25%は当初返済額を考えるための目安であり、診断後に家計全体を確認する必要があります。

10-3.夫婦の収入を合算してもよいですか?

合算できます。

ただし、現在の世帯年収を35年間維持できるとは限りません。育休や時短勤務を予定している場合は、収入が減った条件でも再計算することをおすすめします。

10-4.すでにハウスメーカーから見積りをもらった後でも使えますか?

使えます。

検討中の借入額を入力し、診断による借入目安との差を確認してください。

差が大きい場合は、契約前に見積り、付帯工事、オプション、土地費用、諸費用を整理しましょう。

10-5.住宅ローン破産を防げますか?

診断だけで将来の返済困難を完全に防ぐことはできません。

ただし、額面年収や審査上限だけで予算を決めず、手取り年収から借入目安を確認することで、過大な提案に気づきやすくなります。

まとめ

建築費の上昇により、注文住宅の借入額は大きくなりやすい状況です。

2025年度のフラット35利用者調査では、注文住宅の平均建設費は4,259.8万円、土地付注文住宅の建設費と土地取得費の合計は5,312.9万円でした。

一方、住宅ローン審査で示されるのは、主に金融機関が融資できる金額です。家族が生活費や教育費、老後資金を確保しながら返せる金額とは限りません。

マイホームヒーローズの住宅ローン診断は、推計した手取り年収の25%以内を当初返済額の目安とし、借入目安、月返済額、完済年齢を確認できます。

住宅展示場で理想の家や高い見積りを先に見ると、その金額が判断の基準になりやすくなります。

家づくりを始める前に診断を行い、「借りられる額」ではなく「返しても暮らしを守れる額」から住宅会社を選びましょう。

この記事の監修

マイホームヒーローズ代表 潟沼勇気
宅地建物取引士・FP2級・住宅ローンアドバイザー

出典・引用元

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